逆流性食道炎について
食道は、口から入った食べ物をぜん動運動によって胃の中に送り込む「輸送機能」と胃の中のものが食道に逆流しないように「逆流防止機能」が備わっています。
逆流防止機能は、食道と胃のつなぎ目にある筋肉(下部食道括約筋)で、食べ物が下部食道に送られてきた際には緩み、それ以外の時は閉まることで胃の逆流を防いでいます。
胃液は、食べ物を消化するため、胃酸による強い酸性(pH1.0~1.5)となっていますが、食道はpH7.0と中性に保たれており、胃液や胃の内容物が逆流すると炎症を起こし、びらん(粘膜がただれること)や潰瘍(粘膜や組織の一部が削れてなくなってしまうこと)を生じてしまいます。
この状態が逆流性食道炎です。原因は、食事の内容・肥満・加齢・姿勢などによる、下部食道括約筋の機能低下や食道裂孔(食道が胸部から腹部に通り抜ける穴)の緩み、胃の圧力上昇などがあげられます。
逆流性食道炎の診断
主に問診と内視鏡検査(胃カメラ)によって行われます。
内視鏡検査(胃カメラ)は、逆流性食道炎や潰瘍、胃炎など実際の炎症の程度を確認する目的と、がんなどがないか確認するために行われ、内視鏡検査(胃カメラ)によってがんの早期発見につながる場合もあります。
逆流性食道炎の治療
生活習慣の改善
食事
脂肪を多く含んだ食べ物、ケーキやまんじゅうなどの甘いもの、香辛料などは胃酸の分泌を多くするため控え、アルコールやカフェインも胃酸の分泌を多くするため控えましょう。
姿勢
姿勢と逆流性食道炎は深く関係しています。日中は前かがみの姿勢を避けましょう。寝る時は、少し上半身を高くして寝ると、逆流が起こりにくくなります。 食後3時間くらいは、胃の内容物の逆流が起こりやすいといわれています。食後すぐに横になったり、寝る前に食事をとることは避けましょう。
服装
ベルト、コルセット、ガードル、着物の帯など、おなかを締めつけるものは、身につけないようにしましょう。
禁煙
タバコは逆流性食道炎を悪くします。禁煙に取り組みましょう。
当クリニックでは、保険証が使える禁煙治療を行っています。
薬物療法
胃酸が食道へ逆流しないように胃酸を抑える薬などで治療します。
(逆流性食道炎は、通常数日~1週間ぐらいお薬を飲めば自覚症状は改善することが多いですが、食道粘膜の炎症が強い方は、症状がなくなったからといって自己判断で服用を中止しないでください。)
手術
薬を用いても、逆流症状が改善しない場合に行われることがあります。