胃がんは、がんの中でもまだまだ多くの方が病気にかかっています。
平成20年の罹患率(病気にかかる割合)で、胃がんは、日本人男性で第1位、女性でも乳がん、大腸がんについで第3位です。(国立がん研究センターがん対策情報センターデータベースより)
胃がんは、早期に発見・治療を行うことで治る可能性が高くなってきていますが、初期の段階では症状が出にくいため、気付かないことが多いです。40歳を過ぎたら、1~2年に1度は胃カメラ検査をお受けすることをおすすめします。
胃がんによる死亡率は男性で2位、女性で3位です
厚生労働省による平成22年悪性新生物(がん・肉腫)の主な部位別死亡率(人口10万対)は、肺がん、胃がん、大腸がんの順で多くみられており、性別ごとに見ると、胃がんは男性で第2位、女性で第3位となっています。
他のがんが年々増加しているのに比べると、胃がんはほぼ横ばいの傾向ですが、もともと胃がんにかかる患者様の比率が多かったため、現在でも多くの方が亡くなられています。
しかし、胃がんは初期のうちに発見・治療できれば、比較的治る可能性も高いことが報告されています。
胃がんは早期発見・早期治療が大切
全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)によると、早期がんといわれるステージⅠ期では97.0%と、非常に高い5年生存率ですが、転移がひろがったステージIV期では7.5%と非常に厳しい生存率となっています。
胃がんは、進行した状態では治療が難しくなりますが、ステージⅠ期の段階であれば治る確率が高い病気です。そのためには早期発見が重要ということになります。
しかし、初期の胃がんは自覚症状がほとんどないため、症状が出ないうちに発見されることが難しく、早期発見・治療につなげるためには定期的に検査を受けることが大切です。
40歳を過ぎてからは積極的にがん検診を受けましょう。
お住まいの自治体でのがん検診やお近くの病院・クリニックなどでがん検診の相談をしてみてはいかがでしょうか。
胃がんの検査
胃X線検査(バリウム検査)
胃X線検査は、「バリウム」という造影剤と発泡剤を飲んで行う検査です。
病気が見つかると、その部分だけ影ができたように映ります。
検査の感度(がんがある人を正しく診断できる精度)としては、約70~80%と言われています。
胃カメラ検査(胃内視鏡検査)
内視鏡を口や鼻から挿入して、胃の中を直接観察する検査です。
病気が見つかった場合は、検査時に胃の細胞を採取する組織検査も可能です。
また、他の検査で胃がんが疑われた場合の精密検査として用いられます。
ペプシノゲン検査
血液検査です。胃粘膜の老化度または萎縮度(いしゅくど)を調べる検査です。
直接胃がんを見つける検査ではありませんが、胃がんが胃粘膜の萎縮の進んだ部位より発生することがあるため、この検査をきっかけに胃がんが見つかることがあります。
また、この検査が陽性だった場合は、定期的な検診を受けるのが望ましいです。
ヘリコバクターピロリ抗体検査
血液検査でヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)に感染しているかどうか調べる検査です。
ピロリ菌に感染したすべての人が胃がんになるわけではありませんが、胃がんの原因となりうる細菌と言われています。胃・十二指腸潰瘍の原因になりやすい細菌でもあり、ピロリ菌が見つかった際は、除菌治療をおすすめします。
便潜血検査(検便)
便の中に肉眼ではわからない微量な血液を検出する検査で、胃や腸での出血がないかどうか調べる検査です。便潜血検査で陽性になった場合は、精密検査を行います。
腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査は、主に血液検査で行います。がん患者のスクリーニング、手術後の予測、再発診断、化学療法(抗がん剤治療)などの治療効果判定に広く用いられています。腫瘍マーカーのほとんどが、がんの進行度がすすむごとに陽性率が高くなるものが多く、胃がんの早期発見としては有効性が少ないです。
画像検査(腹部CT検査、腹部超音波検査、腹部MRI検査、PET検査など)
胃がんが診断された後、リンパ節転移や他の臓器への転移の有無を診断する検査です。
通常は、腹部CT検査で評価することが多いですが、必要によって他の画像検査も行われます。
このような画像検査で、胃がん以外にも体内の様々な病気を見つけることができます。
がん手術後のケアや化学療法(抗がん剤治療)などの効果判定としても定期的に行われる検査です。